YOUSEEのデモをみて

日付が変わってしまったので、誤差がありますが・・・
本日(2月18日)、YOUSSEE というサービスのデモを見てきました。
そこでお聞きしたメモとコンテンツ制作者の立場から思ったことを書いておきます。

[メモ]韓国と日本の教育事情

  • 日本でも政府が「デジタル教科書」を提唱しはじめたが、 教科書にかかるコスト削減が目的。韓国では、10年以上も前から、先生ごとにPCがあり1998年(14年前)には先生のPC普及率が100%を超え、10年以上にわたってPCをつかった教育を行ってきた。その結果として必然的に「デジタル教科書を導入しよう」という流れになっている。
  • 韓国では、15年前(←すみません曖昧です)には、小学校の宿題をeメールで提出させていた。その世代が、今、教師になってきている。
  • 韓国には「公の機関は、情報提供の差別化をしてはいけない」という法律がある!
    一部のデバイスやブラウザにのみ対応、ということはNG。必然的に、デジタル教科書は、どこからでもアクセスできなければならない。(=Nスクリーン)
  • 韓国の定年の平均は、38歳!就職しても競争が激しすぎて、この年齢までしかいれない。その後は、優秀であればヘッドハンティングされるが、そうでなければ、独立などの道をさがさなければならない。そのような国内事情があるため、「海外のほうが働きやすい」ということで人材が流出するというゆがみもでている。

(若干あやふやな記憶から書いているので、間違いがありましたら、訂正お願いします)

支倉考

  • 学校教育の話をすると、かならず出てくる「韓国はすごい!」という言葉や情報。政府のスピード感とパワーの強さという話が背景にあり、その影響がもちろん大きいが、それだけではないことがわかった。
    具体的には、今、日本で「良い・悪い」「どう使うべきだ」「何がかわる?」と議論されているステージなのが、韓国は、そのステージを経て、議論や試行錯誤の結果の先に今のデジタル教科書配布という事情がきていることがわかった。
  • 教育のICT化という面で、韓国に日本が遅れをとっている。これは、回線速度だったりPC普及率だったりと、データで見える部分もあるが、それ以外でも、子どもや先生の意識、教科書会社など関連企業の事情など、あらゆる面で、遅れをとっていると思った。
  • ただ、後れを取っていることを悲観的に思っていてもしょうがないし、悲観的に思うこともないかと考えている。韓国には韓国の事情があって、その中で進化してきた。進んではいるが、それがベストとは思わないし、韓国のモデルが日本でそのまま適用できるかどうかは謎である。というと、「そうだよ。韓国だからできるんだよね。日本じゃできないよ。(政府の対応も現場の先生も)」という話になりがちだが・・・そう悲観的にとらえるのではなく、日本式に進化すればよいのだと思う。
    (ただ、それが具体的にどのようなものなのか、は、まだ私にはわからない)

[メモ]YOUSEE というサービスについて

  • 韓国のデジタル教科書の50%以上のシェア
  • 韓国でも、今の日本の教科書会社がそうであるように、高度なFlash技術者をつかい、さまざまな機能を盛り込んだ「デジタル教科書」をつくってきた。が、それは非常に高コストで、それでは継続的に開発していけない!という事情の中で、YOUSEEが選択されるようになってきた。
  • Nスクリーン対応。ワンソース・マルチデバイス。HTML5、EPUBということではない。
  • ブラウザ上ですべて編集ができる。細かい便利機能がたくさんついている。各種素材挿入・多言語切り替え・ミニクイズ作成・著作権タグ付などなど。
  • カスタマイズ性が高い。適材適所に必要なカスタマイズを加えて導入できる。(導入している実績が多数ある)
  • 単にオーサリングツールということではなく、デリバリーツールやアーカイブシステムとして発展してきている。

支倉考

  • ただ一言でいうなら、かなり開発パワーをかけ、そのぶんだけ非常によくできている!と感じた。
    デジタル教材という範囲では、いろいろな表現・見せ方があるが、そのなかの1つの有力なアウトプットとして「デジタルブック」という形式の中では、かなり理想形に近いものだと思った。
  • すべてブラウザで編集でき、かつマルチデバイス対応というところがすごい。それは、技術がどうだ、という話ではなく、今まで一部の「プロ / 職人」と呼ばれる人しか使えなかったツールが、一気にユーザーのもとに降りてきたということ。もちろん、使いこなすのは大変だと思うし、ツールの使い方を知っていればいい教材ができるということは全く結びつかない。ただ、ツールが使おうと思えば目の前にあるということは大きい。
    たとえて言うなら、ブログみたいなもの。ブログ普及以前は、HTML言語を理解してコーディングして、サーバーへの接続設定をして、ファイルをアップロードすると、ホームページがやっと作れた。それより前は、情報発信と言えば、出版や新聞だった。それがブログで一気にユーザーの前に降りてきた。でもそれでベストセラー作家になれるわけでも、まして読者がどれだけつくかもわからない。ネットならではの炎上リスクなどもある。それでも、そのインパクトが大きいのは周知のとおり。
  • 個人的希望としては、学習ログの取得と解析までできたら、すばらしいとおもう。かなりハードルは高いと思うが、誰がどの問題を間違えたかが分かるだけで、授業全体の進行も変えられるし、個別の指導もできる。教科書だけではなく、どのようなキーワードで資料をさがして、どこをどれだけの時間見ていたのかが分かれば、アウトプットだけでは見えない、そこまでのプロセスにおける特性や努力やつまづきなども見えるかもしれない。
もう一段考えて書きたいことがありますが、また明日続きを書きます~


最後に、この機会のきっかけをつくっていただいた みんなのデジタル教科書教育研究会 および 島根からいらして企画していただいた 山内さん、すばらしい製品をご紹介いただいた、クリエイティブ・システム・エンジニアリング 岡さん、芦屋さんに改めて感謝いたします。

2012/02/21 韓国の先生のPC普及率の部分を微修正しました


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